
イタリアワインがお好きなら、一度はバローロとバルバレスコという名前を聞いたことがあるでしょう。どちらもピエモンテ州で造られる、ネッビオーロ種から生まれる素晴らしい赤ワインで、「イタリアワインの王様」「女王」と称されることもあります。
この記事では、この二つの高貴なワインの歴史、味わいの特徴、そして有名な生産者について詳しくご紹介します。
バローロ ヴェッキア・ストーリア(IEI) 2019年 イタリア ピエモンテ 赤ワイン フルボディ 750ml【ワイン ギフト】バローロとバルバレスコ:その歴史と背景
バローロとバルバレスコは、どちらも北イタリア・ピエモンテ州のクーネオ県で生産されています。この二つのワインは、お互いにわずか数キロメートルしか離れていない地域で造られていますが、それぞれ異なる歴史と特徴を持っています。
バローロ:イタリアワインの王様
バローロの歴史は古く、中世にまで遡ります。しかし、現在の「イタリアワインの王様」としての地位を確立したのは、19世紀半ばのことです。当時のサルデーニャ国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の首相であったカヴール伯爵が、フランスの醸造学者を招き、より現代的な醸造技術を導入したことで、バローロは長期熟成に耐えうる、力強く複雑なワインへと進化を遂げました。
バローロが造られる主な村は、バローロ、ラ・モッラ、カスティリオーネ・ファッレット、セッラルンガ・ダルバ、モンフォルテ・ダルバの5つです。それぞれの村のテロワールが、バローロの多様なスタイルを生み出しています。
バルバレスコ:高貴な女王
一方、バルバレスコは、バローロに比べてその歴史が新しいとされています。バルバレスコの生産地域がバローロから独立したDOC(統制原産地呼称)に認定されたのは1966年です。
しかし、その品質はバローロに勝るとも劣らず、しばしば「バローロの女王」と称されます。バルバレスコが造られる主な村は、バルバレスコ、ネイヴェ、トレイゾの3つで、バローロよりも畑が標高の低い位置にあることが多く、土壌も異なるため、より早く飲み頃を迎える傾向があります。
味わいの特徴:力強さと繊細さ
バローロとバルバレスコはどちらもネッビオーロ種から造られますが、その味わいには明確な違いがあります。
バローロの味わい
バローロは、その力強いタンニンと骨格が特徴です。若いうちは非常に凝縮感があり、赤や黒い果実のアロマ、バラやスミレのフローラルな香りが感じられます。熟成が進むにつれて、トリュフ、タール、なめし革、スパイスなどの複雑なブーケが開き、絹のような滑らかなタンニンへと変化していきます。
最低3年(リゼルヴァは5年)の熟成が義務付けられており、特に優れたヴィンテージのものは、数十年単位の長期熟成が可能です。熟成したバローロは、まさに「飲む芸術品」と呼べるでしょう。
バルバレスコの味わい
バルバレスコは、バローロに比べてより繊細でエレガントなスタイルが特徴です。タンニンはバローロほど力強くなく、若いうちから比較的飲みやすい傾向があります。赤いベリー系果実のアロマ、ローズ、リコリスなどの香りが感じられ、熟成によって、より複雑なスパイスや土のニュアンスが現れます。
最低2年(リゼルヴァは4年)の熟成が義務付けられており、バローロよりも早く飲み頃を迎えることが多いですが、もちろん長期熟成に耐えうる品質のバルバレスコも多く存在します。
有名な生産者:バローロとバルバレスコを牽引する巨匠たち
バローロとバルバレスコには、世界的に有名な生産者が数多く存在します。彼らのワインは、その品質の高さから、ワイン愛好家垂涎の的となっています。
バローロの有名生産者
- ジャコモ・コンテルノ (Giacomo Conterno): 「グラン・クリュ」と呼ばれるバローロ・モンフォルティーノ・リゼルヴァで知られる、バローロのトップ生産者。
- バルトーロ・マスカレッロ (Bartolo Mascarello): 伝統的なスタイルのバローロを頑なに守り続ける、孤高の生産者。
- ブルーノ・ジャコーザ (Bruno Giacosa): 伝統と革新を融合させた、高品質なバローロを生み出す巨匠。
- パオロ・スカヴィーノ (Paolo Scavino): 近代的な醸造技術を取り入れ、力強くもエレガントなバローロを造る生産者。
- ヴィエッティ (Vietti): 各種クリュ(単一畑)のバローロで高い評価を得ている生産者。
バルバレスコの有名生産者
- アンジェロ・ガイア (Angelo Gaja): バルバレスコを世界に知らしめた立役者。革新的な醸造とマーケティングで名を馳せる。
- ブルーノ・ジャコーザ (Bruno Giacosa): バローロ同様、バルバレスコでも素晴らしいワインを生産している。
- ブルーノ・ロッカ (Bruno Rocca): 近代的なスタイルを取り入れつつ、バルバレスコの個性を引き出す生産者。
- チェッレット (Ceretto): 有機栽培にも力を入れ、テロワールを重視したバルバレスコを造る生産者。
まとめ
バローロとバルバレスコは、同じネッビオーロ種から生まれる兄弟のようなワインでありながら、それぞれ異なる個性を持っています。バローロの力強さと長期熟成の魅力、バルバレスコのエレガンスと比較的早い飲み頃。どちらのワインも、イタリアワインの奥深さを存分に楽しませてくれるでしょう。
ぜひ、この二つの「王様」と「女王」を飲み比べて、あなたのお好みのスタイルを見つけてみてください🍷
コメント