経営者として 稲盛和夫『生き方』

日記

料理人から経営者へ。僕の羅針盤となる稲盛和夫さんの『生き方』

僕はこれまで料理人として、食材と真摯に向き合い、お客様に最高の料理を提供することに情熱を傾けてきました。しかし、これからは一歩踏み込み、「経営者」として自分のレストランを導いていく、新たな挑戦が始まります。

そんな僕にとって、心の師となる一冊に出会いました。それが、「経営の神様」と称される稲盛和夫さんの『生き方』です。


「経営の神様」稲盛和夫とは? 稀代の経営者が残した偉大な足跡

まず、稲盛和夫さんがどんな人物だったのか、簡単にご紹介させてください。

稲盛和夫(いなもり かずお)氏は、1932年(昭和7年)鹿児島県生まれ。

彼の類まれなる経営手腕と哲学は、以下のような偉業によって語られます。

  • 京セラ株式会社の創業: 1959年、27歳でファインセラミックスのメーカーである京セラを創業。わずか一代で世界的な企業へと成長させました。
  • KDDI株式会社の設立: 1984年には、第二電電企画(現KDDI)を設立し、通信業界に参入。当時、NTTが独占していた通信市場に風穴を開け、国民の通信料金引き下げに大きく貢献しました。
  • 日本航空(JAL)の再建: 2010年、経営破綻した日本航空(JAL)の会長に就任。当時78歳でありながら、無報酬でその重責を担い、わずか2年8ヶ月でJALを再建、再上場へと導きました。これは「奇跡の再建」と呼ばれ、世界中から注目されました。
  • 「盛和塾」の開設: 自身の経営哲学「京セラフィロソフィ」や「アメーバ経営」を、後進の経営者に伝えるため、私塾「盛和塾」を開設。国内外の多くの経営者が稲盛哲学を学び、それぞれの経営に活かしました。

このように、稲盛氏は単に企業を大きくしただけでなく、**「人間として何が正しいか」**という哲学を経営の根幹に置き、実践し続けた稀代の経営者でした。その思想は、経営のみならず、個人の人生においても多くの示唆を与えてくれます。


巷には数多くのビジネス書や経営論が溢れていますが、この本はそれらとは一線を画します。単なるノウハウや戦略ではなく、人間として、そして経営者としてどうあるべきかという、根本的な「生き方」の哲学が凝縮されています。まさに、僕がこれから歩む道において、迷った時に立ち返るべき羅針盤のような存在です。

『生き方』から学んだ、経営者の「心」の重要性

本書を読んで最も心に響いたのは、「心のあり方」が経営の成否を分けるという稲盛さんの哲学です。

技術や才能ももちろん大切ですが、それ以上に、「人間として何が正しいか」という原理原則に基づいた倫理観や道徳心が、経営者には不可欠だと説かれています。利己的な動機ではなく、世のため人のために尽くす「利他」の精神、そしてどんな困難にも真正面から向き合う「愚直な努力」が、最終的に成功へと導く。

これは、料理の世界で僕が大切にしてきた「お客様への真摯な姿勢」や「日々の研鑽」と通じるものがあり、非常に腹落ちしました。料理人として培ってきた「技術」と「真心」に、この経営哲学を重ね合わせることで、より強固なレストランを築けるはずだと確信しました。

経営に活かす『生き方』の教え

では、具体的に僕がこれから経営者としてどのように『生き方』の教えを活かしていくか、いくつかポイントを挙げたいと思います。

1.「動機善なりや、私心なかりしか」を常に自問自答する

稲盛さんが経営判断の際に常に問いかけたというこの言葉は、まさに経営者の倫理観を問うものです。何か新しい取り組みをする際、従業員やお客様、そして地域社会にとって本当に良いことなのか、私利私欲に囚われていないか。この問いを常に自分自身に投げかけ、透明性のある、正しい経営判断を下していきます。

2.「考え方×熱意×能力」で成果を最大化する

稲盛哲学の根幹をなす方程式です。どれだけ能力があっても、考え方が間違っていたり、熱意がなければ成果は出ません。僕の場合、「料理の能力」はこれまで磨いてきましたが、これからは「経営者としての考え方」を学び、事業への「熱意」を燃やし続けることが重要です。従業員にもこの方程式を共有し、皆で前向きな考え方と情熱を持って仕事に取り組めるような環境を築いていきたいと考えています。

3.「採算を合わせる」という経営の厳しさと、その先にある「利他」

料理人としてはいかに美味しいものを作るかが一番でしたが、経営者としては「採算を合わせる」という現実的な壁があります。しかし稲盛さんは、この採算意識が、顧客への価値提供を最大化し、従業員の生活を守るためにも重要だと教えてくれます。単に利益を追求するのではなく、**「お客様に喜んでいただき、従業員が豊かになり、地域社会に貢献する」**という「利他」の精神の先に、結果として採算もついてくるのだと理解しました。

4.「ガラス張り経営」で従業員と共に成長する

稲盛さんは、経営情報を全て従業員に公開する「ガラス張り経営」を実践しました。これは、従業員一人ひとりが経営者意識を持ち、自律的に仕事に取り組むことにつながります。僕のレストランでも、従業員が単なる労働者ではなく、共にレストランを創っていく仲間として、やりがいを持って働けるような仕組みを築いていきたいです。彼らが安心して働ける環境こそが、お客様への最高のサービスへと繋がると信じています。


料理人の経験を活かし、哲学的経営者として新たな道を

『生き方』は、僕がこれまで培ってきた料理人の経験と、これから歩む経営者の道を繋ぐ架け橋となってくれました。

技術や感性だけでなく、人間としての「心」と「哲学」を磨くこと。それが、激しい競争の中で生き残り、お客様に永く愛されるレストランを築く上で最も重要なことだと、稲盛さんの言葉は僕に教えてくれました。

料理人としてのプライドと情熱はそのままに、これからは稲盛哲学を胸に、地方のこの場所で、「人を幸せにする食」を追求する、新しい「経営者」として一歩を踏み出します。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

生き方 人間として一番大切なこと [ 稲盛和夫 ]
価格:1,870円(税込、送料無料) (2025/5/25時点)


コメント

タイトルとURLをコピーしました