皆さん、こんにちは。CASA Kシェフです。 突然ですが、皆さんは「グラッパ」というお酒をご存知でしょうか?
ワインを造る過程で生まれるブドウの搾りかすを原料とする、イタリアを代表する蒸留酒です。その力強い香りと独特の味わいは、イタリアの食文化に深く根ざしています。CASA Kでも食後の締めくくりとして、お客様にグラッパをおすすめすることがよくあります。
今回は、この魅力あふれるグラッパについて、その歴史から種類、美味しい飲み方まで、深く掘り下げてご紹介します。この記事を読めば、あなたもグラッパの虜になること間違いなしです。
グラッパの歴史:貧しい農民から始まった「魂のお酒」
グラッパの歴史は、中世の時代にまで遡ります。 当時は、ワインを造った後に残るブドウの搾りかすは、ただの廃棄物と見なされていました。しかし、貧しい農民たちは、この搾りかすを捨ててしまうのはもったいないと考えました。そこで、彼らは搾りかすを発酵させ、蒸留するという技術を応用し、強いアルコール度数を持つお酒を生み出したのです。これがグラッパの起源とされています。
「グラッパ(Grappa)」という名前は、イタリア語でブドウの茎や房を意味する「grappolo」に由来するという説が有力です。当初は、主に寒い冬を乗り切るための栄養補給や、薬用として飲まれていました。
その後、蒸留技術の進化とともに、グラッパの品質は飛躍的に向上します。19世紀に入ると、蒸留器の改良が進み、より洗練された味わいのグラッパが造られるようになりました。そして、20世紀後半には、高級な食後酒として世界的に認知されるようになり、現在ではイタリアの重要な文化財産として、厳格な品質基準のもとで製造されています。
グラッパの製造方法:ブドウの魂を凝縮する
グラッパの原料は、前述の通り、ワインを造った後のブドウの**搾りかす(ヴィナッチャ)**です。しかし、ただの搾りかすではありません。グラッパの品質は、このヴィナッチャの品質に大きく左右されます。
1. 原料となるブドウの種類
グラッパの味わいを左右する重要な要素の一つが、原料となるブドウの品種です。単一の品種のブドウから造られるものをモノヴィティーニョ(Monovitigno)、複数の品種を混ぜて造られるものを**ポリヴィティーニョ(Polivitigno)**と呼びます。
例えば、ジャスミンのような華やかな香りが特徴の「ゲヴュルツトラミネール」や、ライチのような香りの「マスカット」から造られるグラッパは、そのアロマが際立ちます。一方、「ネッビオーロ」や「バローロ」といった赤ワイン用のブドウから造られるグラッパは、力強く、骨格のしっかりとした味わいになります。
2. 蒸留プロセス
グラッパの製造には、主に「単式蒸留器」と「連続式蒸留器」の2種類が使われます。
- 単式蒸留器: 伝統的な製法で、時間をかけてじっくりと蒸留します。一度に大量に造ることはできませんが、ブドウ本来の繊細な香りを最大限に引き出すことができます。
- 連続式蒸留器: 現代的な製法で、効率よく大量生産が可能です。単式蒸留器に比べて香りの抽出はやや劣りますが、安定した品質のグラッパを造ることができます。
グラッパの品質を決定づけるのは、この蒸留プロセスにおける「頭(カポ)、心臓(クオーレ)、尾(コーダ)」と呼ばれる部分の選別です。最初に蒸留されてくる「頭」と、最後に残る「尾」には不純物や不快な香りが含まれるため、これらを丁寧に取り除き、「心臓」と呼ばれる最もクリアで香り高い部分だけをボトリングします。
グラッパの色の違い:透明なものと琥珀色のもの
グラッパには、透明なものと琥珀色のものがあります。これは、熟成の有無による違いです。
透明なグラッパ(Giovane)
- 特徴: 蒸留後、すぐに瓶詰めされるグラッパです。熟成させないため、色は無色透明で、ブドウそのもののフレッシュな香りと、力強いアルコール感が特徴です。
- 味わい: 若々しいフルーティーさ、ハーブやスパイスのニュアンス、そしてシャープな口当たりが楽しめます。
- 楽しみ方: 冷やして飲むのがおすすめです。カクテルのベースにしたり、エスプレッソに少量垂らして「カフェ・コレット」として楽しむのも人気です。
琥珀色のグラッパ(Invecchiata, Riserva)
- 特徴: 樽で一定期間熟成させたグラッパです。熟成期間によって呼び方が変わり、12ヶ月以上熟成させたものを「インヴェッキアータ(Invecchiata)」、さらに18ヶ月以上熟成させたものを「リゼルヴァ(Riserva)」と呼びます。
- 味わい: 樽の成分が溶け出すことで、琥珀色に染まり、バニラやカラメル、ドライフルーツ、スパイスなどの複雑で芳醇な香りが加わります。口当たりもまろやかになり、深みのある味わいになります。
- 楽しみ方: 食後のデザートと一緒に、または食後酒として、常温でゆっくりと香りを楽しみながら飲むのがおすすめです。ブランデーグラスに注ぎ、手の温度で少し温めながら飲むと、より一層香りが開きます。
グラッパの美味しい飲み方
グラッパは、その種類によって様々な飲み方で楽しめます。
- ストレート: 最もシンプルで、グラッパ本来の香りと味わいを堪能できる飲み方です。特に琥珀色のグラッパは、常温でゆっくりと飲むのがおすすめです。
- ロック: 氷を入れることで、アルコール感が和らぎ、すっきりと飲みやすくなります。透明なグラッパにおすすめです。
- カクテル: 透明なグラッパは、ライムやレモンジュース、ソーダなどで割ってカクテルにするのも美味しいです。
- カフェ・コレット: エスプレッソにグラッパを少量垂らす、イタリアで定番の飲み方です。コーヒーの苦味とグラッパの香りが絶妙にマッチします。
CASA Kからのおすすめ
当店CASA Kでは、様々な種類のグラッパをご用意しております。その中でも特におすすめしたいのが、モスカートとブルネロのグラッパです。
モスカートから造られるグラッパは、マスカット特有のフルーティーで華やかな香りが特徴で、グラッパを初めて飲む方にも親しみやすいでしょう。食後のデザートと一緒に、その甘く芳醇な香りをゆっくりと楽しんでみてください。
一方、イタリアワインの王様と称されるブルネロのグラッパは、力強く骨格のしっかりとした味わいが魅力です。琥珀色に輝く液体からは、ドライフルーツやスパイスの複雑なアロマが立ち上り、まさに大人の締めくくりにふさわしい一杯です。
もし「グラッパは初めて」という方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にスタッフにお声がけください。お客様の好みに合わせて、最適なグラッパをご提案させていただきます。
食後の締めくくりに、イタリアの魂を凝縮した一杯を、ぜひCASA Kでお楽しみください。皆さまのご来店を心よりお待ちしております。
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