知ればもっと好きになる、イタリアチーズの奥深い世界〜歴史、文化、そして究極のマリアージュ〜

ワイン&料理

こんにちは!京都にあるイタリア料理店「CASA K」のシェフです。

今回は、私たちの料理に欠かせない、そしてイタリアワインを語る上で避けて通れない存在、「イタリアチーズ」の魅力について、とことん深掘りしてみたいと思います。

「チーズ」と聞くと、フランスを思い浮かべる方も多いかもしれません。しかし、実はイタリアこそが、その多様性と歴史において、世界のチーズ文化を牽引してきた国の一つなのです。

1. チーズは「食の宝石」、イタリアチーズ文化の歴史的背景

イタリアのチーズ作りの歴史は、なんと古代ローマ時代にまで遡ります。ローマ帝国は、広大な領土を統治する中で、軍の食料として長期保存が可能なチーズを重宝しました。当時は、塩漬けにしたヤギや羊の乳からチーズが作られていたと言われています。

中世に入ると、修道院がチーズ作りの中心地となります。修道士たちは、その土地の気候や風土に合わせて、独自の製法を発展させていきました。例えば、パルミジャーノ・レッジャーノは、エミリア・ロマーニャ地方のベネディクト会修道院がその起源と言われており、牛乳を原料とする大型のハードチーズとして、長期保存と輸送を可能にしました。

現在、イタリアにはEUの原産地名称保護制度であるD.O.P.(Denominazione d’Origine Protetta)に認定されたチーズだけでも50種類以上あります。もちろん、D.O.P.以外の伝統的なチーズも数多く存在し、その総数はなんと400種類以上とも言われています。北から南まで、各地方の風土や気候、そして歴史の中で育まれてきたチーズは、まさにその土地の「食の宝石」と呼ぶにふさわしいものです。

2. CASA Kの料理を彩る、愛すべきチーズたち

さて、私たちのお店「CASA K」の料理にも、イタリアチーズは欠かせません。僕もよく使っているチーズをいくつかご紹介しながら、その魅力に迫っていきましょう。

  • ゴルゴンゾーラ:青カビチーズの王様とも呼ばれるゴルゴンゾーラ。その独特の風味と塩気は、一度食べたら忘れられません。CASA Kではゴルゴンゾーラと他に3種類のチーズを使った『イタリア産4種のチーズを使ったペンネ』を提供しています。4種のチーズの風味と、生クリーム、、口の中に広がる至福の味わいは、まさにやみつきになります。
  • タレッジオ:ゴルゴンゾーラと同じく、ロンバルディア州を代表するウォッシュチーズです。独特の香りはありますが、口に含むと驚くほどクリーミーでマイルド。溶けやすい性質を活かし、リゾットやフォンデュにも最適です。
  • パルミジャーノ・レッジャーノ:イタリアチーズの王様。2年、3年と熟成を重ねることで、旨味成分のアミノ酸が結晶化し、ジャリジャリとした独特の食感が生まれます。私たちは、パスタの仕上げに惜しみなく削りかけます。熱々のパスタの湯気で、パルミジャーノがふわりと溶け、香りが一気に立ち上る瞬間は、まさに至福です。
  • ペコリーノ・ロマーノ:イタリア最古のチーズの一つと言われる、羊乳製のハードチーズです。パルミジャーノよりも塩味が強く、パンチの効いた味わいです。ローマの伝統料理「カチョ・エ・ペペ」や「アマトリチャーナ」には欠かせない存在です。
  • モッツァレラ:特に水牛の乳で作られる「モッツァレラ・ディ・ブーファラ」は、ミルキーで弾力があり、瑞々しい食感が特徴です。当店では、このモッツァレラを使った「カプレーゼ」を前菜でご提供しています。トマト、バジル、そしてオリーブオイルとの相性は、もはや説明不要の完璧な組み合わせです。
  • マスカルポーネ:言わずと知れた、ティラミスの主役。生クリームを乳酸発酵させて作られるため、チーズというよりは、濃厚で滑らかなクリームのような質感です。私たちは、このマスカルポーネを使った自家製ティラミスで、食後のひとときを甘く締めくくります。

3. ソムリエが提案する、至福のチーズとワインのマリアージュ

さて、ソムリエとしては私が最も情熱を注いでいるのが、チーズとワインのマリアージュです。ただ単に「合う」というだけでなく、お互いの魅力を引き出し合い、口の中で新たなハーモニーを生み出す組み合わせをご紹介します。

  • ゴルゴンゾーラ:青カビの濃厚な風味と塩気には、同じく熟成を経たワインが好相性です。ヴェネト州の甘口ワイン「レチョート・ディ・ソアヴェ」や、トスカーナのヴィン・サントといったデザートワインと合わせると、ワインの甘みがゴルゴンゾーラの塩味をまろやかに包み込み、互いの風味がより一層引き立ちます。
  • タレッジオ:クリーミーで優しい味わいのタレッジオには、酸味と果実味のバランスが良い白ワインがおすすめです。ロンバルディア州のフランチャコルタ(スパークリングワイン)や、ヴェネト州のソアヴェ・クラッシコといった、樽を使わないフレッシュな白ワインが、タレッジオの優しい風味を邪魔することなく、口の中をさっぱりとさせてくれます。
  • パルミジャーノ・レッジャーノ:熟成が進んだパルミジャーノには、やはり熟成を経た力強い赤ワインを合わせたいものです。エミリア・ロマーニャのランブルスコ(微発泡赤ワイン)は、パルミジャーノと同じ土地で生まれた、まさに運命のペアリング。また、トスカーナのキャンティ・クラッシコや、ピエモンテのバローロといった骨格のしっかりした赤ワインも、パルミジャーノの旨味をさらに引き立ててくれます。
  • ペコリーノ・ロマーノ:羊乳特有の風味と強い塩味には、南イタリアのワインがベストマッチです。特に、カンパーニア州のフィアーノ・ディ・アヴェッリーノや、プーリア州のプリミティーヴォといった、力強い果実味を持つワインが、ペコリーノの個性に負けることなく、素晴らしい調和を生み出します。
  • モッツァレラ:瑞々しくフレッシュなモッツァレラには、繊細で軽やかな白ワインを合わせましょう。特に、カンパーニア州のファランギーナや、フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州のピノ・グリージョといった、ミネラル感のある辛口白ワインが、モッツァレラ本来のミルキーな味わいを際立たせてくれます。

いかがでしたでしょうか。

イタリアチーズは、単なる食材ではなく、その土地の歴史、風土、人々の知恵が詰まった、まさに「物語」のような存在です。

ぜひ、CASA Kで、イタリアチーズとワインの無限の組み合わせを体験してみてください。皆様のお越しを心よりお待ちしております。

コメント

タイトルとURLをコピーしました